狂っているのは今なのか、昔なのか
新型コロナ
この名前を耳にしてもさほど驚かなくなってしまった。もちろん感染力はわかっているし、実際自分が働いているオフィスビルから感染者が出た時は怖いと感じた。
ただ人とは恐ろしいもので慣れてしまう生き物なんだなぁと実感している。
そこに在るものとなってしまった新型コロナ。
ヤツによって台無しになってしまったものはあまりにも多い。会いたい人に会えない。大好きな芸能人、アーティスト。それだけじゃない。家族にすら会えなくなってしまった。
そう思うと今の世は狂ってる。
そしてその狂いに合わせざるを得ない今。
その狂いを受け入れている自分がいる。
ただこれを書きながら自分の部屋をぐるっと見回す。ベッドには畳まれたパジャマとタオルケット。床は毎晩クイックルワイパーされているから綺麗。台所にはゴミが溜まっていない。明日着る服は準備してあるし、なによりもほうじ茶を淹れながらこれを書く時間がある。
あれ?
これ狂ってる?
これまでの生活はグチャグチャだった。仕事から寝に帰るだけの部屋はちっとも素敵じゃなかった。深夜過ぎて帰る日々。レトルトで済ませてしまうご飯。ベッドは急いで飛び起きたままの状態だ。
あれ?
これこそ狂ってる。
私の生活という一面だけを切り取ると私はどっちの生活が狂っているのか分からなくなる。新型コロナによって狂った世界に合わせた結果、朝起きて3食ちゃんと食べる狂いのない生活をしている。
そういえば家にいる時間が増えて、身の回りのものが変わった。自分の好きな物を好きなように使うことが楽しくなった。
漫画や本はお気に入りを手元に残した。
自分の変化を覚えていたくてお財布を買った。
いつのまにか食器を揃えるのが趣味になった。
ちっとも狂ってなんかいない。